数学者ってどんな仕事?

数学者ってどんな仕事か、結構知られていないようなので、FAQ風にまとめてみた。(ここから急にですます体に変わります。)

数学者になるにはどうしたら良いの?

数学科またはそれに類した学科(数理情報なんとか、とか)で博士号を取ることが条件になります。博士号を取るには、普通これまで解けていなかった数学の問題を解き、学術誌に発表する必要があります。学術誌に発表するには、審査があります。というか、審査がある学術誌に発表しないと、発表した、とはみなされません。審査は、内容が間違っていないか、また解いた問題が解くに値するものか、が審査されます。解くに値する、とは、もっともよいのはその分野で何年も未解決だった問題であることですが、なかなかそれは難しいので、その未解決問題の解決に近づくような問題であったり、他の論文で提起されている問題であったり、また他の数学の分野に応用があるような問題であったりすることです。

博士号をとっても、数学者として就職できるかどうかはまた別の問題です。数学者として就職できずに、数学の知識や経験を活かしてプログラマ/SEになったり、保険算定人になったり、また全く別の学科に入り直す人もいます。

数学者って普段どんなことをしているの?

数学者の大半が、大学の先生で、大学で数学を教えることで生計を立てています。極小数のエリート的な数学者は、数学専門の研究所(日本だと、多分京大の数理解析研究所とか)で研究を仕事にしています。あと高専の先生もいます。他分野の研究機関、官庁、企業等に在籍している人もいなくはないですが、ごく少数です。

ちなみに、アメリカ国家安全保障局(NSA)が大量の数学者を雇っている、と言われることが有りますが、彼らは外部にはほとんど論文を公表しないと思うので、あまり数学者とは呼ばないと思います。

ほとんどの数学者が大学で数学を教えている、と書きましたが、数学者を数学者たらしめているのは、数学の研究をしていることです。エッセイを書いたり、国家の品格について論じたりすることが主な活動になれば、それは数学者とは呼ばれないと思います。では数学の研究とは何か、ですが、上記のように未解決の問題を解いて、その解法を論文として発表する、ということになると思います。他に、「理論構築」と呼ばれる活動も有りますが、理論構築が数学の研究の一部として認められるには、問題解決に資する必要があります。

数学者ってどんな問題を解いているの?

数学者の主な仕事は問題を解くことだ、と書きましたが、2+2=5とか、\(\int e^x dx = e^x + C\)と言った、計算規則を機械的に適用すれば解けるような問題は、数学の問題とはみなされません。規則を発見したり、それを既知の知識から論理的に正当化したりすることは数学の研究とみなされます。通常、数学で問題になるのは、例えば「4以上の偶数はみな2つの素数を足したものになっている」といった、数学的対象の一般的性質に関わる言明です。この言明を、既知の知識から論理的に証明したり、反証したりすることが数学での問題の解決、になります。ちなみに今の言明は、ゴールドバッハの予想と言われ、その証明も反証も知られていない未解決問題です。

数学的対象ってなんですか

他に、論理的な証明とは?とか既知の知識とは?(数学がどこまでの知識を前提にして良いのか)は色々な考えがあります。シャピロという人の数学を哲学するが良い本だそうです。読んでないけど(無責任)