ローマ帝国の崩壊 -- 文明が終わるということ

Twitterでローマ帝国の崩壊 -- 文明が終わるということの新刊案内を見たので、興味を持って原書を探してみたところ、1000円くらいでKindle版が買えるようだったので買ってみた。自炊ではなくちゃんとKindle化されていると、少なくとも人文書は読みやすい。辞書もOEDが付いているので、わからない単語は辞書がすぐ引ける。

内容について。近年の歴史学では、ローマ帝国の「滅亡」と言われてきた現象は、むしろ比較的平和的な「変容」だったという論調が台頭してきているが、それを批判して、やはりローマ帝国は暴力的に破壊されたのであり、その結果として大幅な生活水準の低下が起こった、と様々な史料と(特に陶器に関する)考古学的な知見から本書は主張する。そして、文明が終わるということは実際にありえるのであり、我々の文明も例外ではない、備えよ(違)と結んでいる。

私は専門家ではないので、この論争について本当はなにも言えることはないのだけど、本書を読んだ限りではそれなりに説得力があった。貨幣経済や石造建築や瓦葺きの屋根が、本当に豊かさを表しているか、という疑問はちょっと感じたけど。

また、「なぜ」文明が崩壊したのか、という点については、本書の主な論点ではないけれども、いろいろと疑問点が残った。一言でまとめると、長期間の戦乱で生産や流通のネットワークが破壊されたことが原因、と主張されていて、理屈としてはよく分かるのだが、戦乱が続いても滅びなかった文明はいくらもある。例えば、中国は何度も異民族に侵入され征服されているけれども、別に滅びはしなかった。

それにしても、こういう文明の崩壊期に生きた人々は、どんなふうに感じていたんでしょうねえ。